2022年3月27日(日) 14:00 ~ 16:00
司会:伊藤 義美 (会長)
「発達障がいとトラウマ、その支援」
愛知県医療療育総合センター中央病院 子どもこころ科医長
小野 真樹 先生
講演内容
「発達障がい」と「トラウマ」は、子どものこころの問題を考える上での重要なテーマです。
この二つの問題は相互作用をしています。子どもに発達障がいがあると、それはトラウマの原因になります。逆にトラウマが原因で、発達障がいとよく似た問題が発生することがある、と言われています。
発達障がいとトラウマが混在した、複雑で解決困難な問題が発生することがあります。
このような問題に対してどのように理解して支援すればよいか、ということについては、拙著『発達障がいとトラウマ−理解してつながることから始める支援』(金子書房、2021年)で述べさせて頂きました。
今回の講演では、拙著の内容を前提としつつも、支援の具体的な方法について、新たに設定した仮想事例を通して考えたいと思います。
仮想事例では、家族の複数のメンバーが問題を抱えています。子どもには発達障がいがあって、親子の関係もうまくいきません。母親は自身の子ども時代についてのトラウマを抱えています。そしてフラッシュバックのため、子どもの問題に毅然として向き合うことができません。
このような状況では、支援者には、家族全体を支援する視点が必要です。
たとえ求められる支援者の役割が子ども本人への支援だったとしても、親や家族への支援についても、考慮する必要があるのです。
今回の講演では特にトラウマを抱えた母親への支援に注目します。
そして同時に、発達障がいのある子どもとの関わりを支えて行くプロセスについても考えてみたいと思います。
講師紹介
愛知県医療療育総合センター中央病院 子どもこころ科医長
小野 真樹 先生
略歴
愛知県医療療育総合センター中央病院、子どものこころ科(小児心療科)医長。
1971年に千葉県で生まれ、埼玉県で育った。
京都大学理学部を卒業後、札幌医科大学に再入学、2001年に医師免許を取得。
小児科医師として北海道や青森県で勤務したのち、2008年よりあいち小児保健医療総合センター心療科で研修を受けた。
現在は、児童精神科の医師として、発達障がいの診療や、虐待の問題に巻き込まれてしまった子どもや家族の診療などに携わっている。
また、地域支援と連携を深めるために、啓発講座での講演、小中学校の巡回相談および教育支援委員会の参加、発達支援を目的としたNPOの立ち上げ監修などを行っている。
精神保健指定医、小児科専門医、小児精神神経学会認定医、子どものこころの専門医。