第56回公開講演では、愛知県がんセンター 精神腫瘍科部部長の小森康永先生に「ナラティヴ・セラピーの詩学」をお話しいただきます。
東海相談学会の公開講演は学会員以外の方も無料で参加することができます。
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皆様からの多数のご参加をお待ちしています。
公開講演 参加費無料
司会:伊藤 義美(会長)
「ナラティヴ・セラピーの詩学」
小森 康永 氏
(愛知県がんセンター 精神腫瘍科部部長)
この演題はいつどこで始まったのだろう?もちろんそれはこうなることなど予想だにしなかった時点だ。私は「詩学」などという言葉を演題のタイトルにするような読書生活からはほど遠いところにいるから、当然どこかで決定的な入れ知恵をされたわけだ。
それは間違いなく、2000年にマイケル・ホワイトの論文集”Reflections on Narrative Practice: Essays & Interviews”『リフレクションズ』を読んだときだ。200ページに満たない、いかにも安上がりのブルーコピーのカバーのインディーズ出版物。
インタビュアーによって「マイケルの面接中に彼の頭の中で何が起こっているのか?」が話題にされ、マイケル本人が以下のように答える。「「私は何を聴いているのか?」というのはいい質問だね。私に言えるのは、私の聴き方は、仕事に対する私の好みのメタファーによってもたらされているということです。特に、詩学がしっくりきます。デイヴィッド・マルーフの詩学についての文章をひとつ読んでみましょう。それは、私の仕事の概念化にとてもフィットしていますし、彼は私よりもずっと上手に言葉にしているからです」 。そして続けて朗読されたのがデイヴィッド・マルーフの詩学だ。オーストラリアの作家が書いた長編小説『ザ・グレート・ワールド』”The great world”の登場人物の一人である詩人・大学教授の以下の発言。
詩はどのように、心の奥深くに感じられ、詩でなければ記録されないことを声にするのでしょう。もっとも簡単明瞭な言葉がいつも使われるわけではないのは、それが必ずしも可能ではないからですが、ぴったりの正確な言葉が使われるものです。ユニークながら繰り返されるあらゆる出来事、日々の存在の小さな秘跡、心臓の鼓動、そして身近でありながら表現不能な物事の壮大さと恐怖の兆候、それがわたしたちの別の歴史です。それは、出来事のノイズとおしゃべりの下、静かに進行するものであり、この惑星の生活で毎日起こることの大半であり、そのはじまりから綿々と続いてきたものです。詩とは、別の歴史に見合う言葉を見つけることです。たいていは見えず声にされることもないことに重要性を加味することです。詩ができれば、それが私たち全員をつなぎとめるのは、それがわたしたち一人ひとりの中心から直に声になるからです。詩は、自分たちも経験していたのにそれが言葉にされるまで経験することのなかったものを形にすることです。たとえ詩が声にされるや否や、人々がそれを自分自身のものだと思うにせよ。
(Malouf, 1991/p.283-284)
これを読んで気にならないほうがおかしい。しかもそのインタビューは「倫理と表層スピリチュアリティ」と題されたもので、2006年よりがんセンターで働くこととなった我が身には抜き差しならないものであった。とはいえ、珍紛漢紛。
参加申し込み
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